2013.9.19 弁護士ブログ
通勤手当の不正受給
【25年間、無許可で車通勤…318万円不正受給 都職員を停職処分】
報道によると、25年間にわたり通勤届と異なり無許可でマイカー通勤をし、通勤手当約318万円を不正に受給したとして、都は今月3日、監査事務局の男性主事(54)を15日の停職処分とした。
この主事は平成元年2月~今年5月、自宅から最寄り駅までバスを利用するとの通勤届を出していたのに、実際は自家用車で通っていた。今年5月、同局で通勤届の確認をした際、本人の申し出で発覚。主事は「バスの本数が少なく不便だった。手当は駐車場代に充てたので問題ないと思っていた」と説明、反省しているという。
ほとんどの会社で、会社から自宅までの通勤費に応じて、通勤手当を支給されているかと思います。
ただ、常に本当の現住居地なのかどうかを調べるためには、膨大な手間がかかり、一般的には、社員の申告を信じる他ありません。
これをいいことに、会社近辺に引っ越ししたにもかかわらず、会社へ申告をせず、旧住所地に応じた通勤手当を受給していたり、通勤方法を偽って申告し続けている社員が多くいるようです。
仮に、定期代を浮かせようと「バス通勤」と届けているのに自転車通勤をするような場合、どのようなリスクがあるのでしょうか?
上記の場合、本来不要な交通費を会社から不正に受給していることになるので、その期間や金額、悪質度などにより、会社から重い処分が下されることも十分想定されます。
また、通勤手当の不正受給は会社の処分の対象になるだけではありません。万が一、届出と違う経路での通勤途上に交通事故に遭遇した場合、労災保険上の通勤災害として認められない可能性もあります。それは、通勤災害による給付の対象が合理的経路の途上での事故などに限定されており、届出と違う経路での通勤が、合理的経路であったとはみなされない可能性があるからです。さらに、当然、会社から不正受給をした金額の返還請求を受けることもあります。
上記リスクを考えると、目先の利益にとらわれず、正直に申告をしていたほうが懸命と言えますね。