2025.5.23 相続・遺言
遺言書が有効とみなされるには
遺言書が有効とされるためには、一般的に以下の条件を満たす必要があります。
- 作成者の意思能力:遺言を作成する時点で、作成者(遺言者)が判断能力を持っていること。
- 作成の方式:遺言の種類によって異なりますが、例えば自筆証書遺言の場合は全文を自筆(但し、不動産の物件目録(住所、地番、広さなどが記載されているもの)は、パソコンなどでタイプしたもの(ただし、それらのページに署名捺印が必要です)を添付することは認められています。)で書き、押印(自筆署名・捺印)が必要です。公正証書遺言の場合は、公証人と証人(証人は公証役場で有料ですが手配してくれます。)の立ち会いのもと作成されます。
- 内容の明確性:遺言の内容が明確で、誰に何を相続させるかがはっきりしていること。つまり読み手によって異なった読み方があるような曖昧さがないことが必要です。
- 遺言の作成時の適法性:遺言作成時に詐欺や強迫などの違法な影響を受けていないこと。
上記でいう「判断能力」とは、次のようにその有無を判定します。
遺言書(遺言状)が有効とされるためには、作成者(遺言者)が「遺言能力」を有している必要があります。この能力は、民法で以下のように規定されています。
遺言能力の要件(民法3条の2、962条~964条)
- 意思能力があること
- 遺言者が自分の行為の意味を理解し、合理的な判断ができる精神状態であることが必要です。
- 認知症などで判断能力が不十分な場合、遺言が無効になる場合があります。
- 年齢要件(15歳以上)
- 民法961条により、15歳に達していれば遺言をすることができます。
- 通常の法律行為(契約など)は18歳から可能ですが、遺言については例外です。
- 強制や詐欺による影響がないこと
- 遺言が脅迫や詐欺によって書かれた場合、取り消しの対象となる可能性があります。
特に注意が必要なケース
- 認知症の場合
- 遺言時に「一時的に判断能力が回復していた」と証明できれば有効となることがあります(医師の診断書や証人による立証が必要)。
- ただし、成年後見人がついている場合、原則として遺言はできません()。例外として、一時的に判断能力が回復したと家庭裁判所が認めた場合などに可能なことがあります。
- 自筆証書遺言・公正証書遺言の違い
- 自筆証書遺言の場合、後で「遺言時に能力がなかった」と争われるリスクがあるため、公正証書遺言(公証人立会い)や医師の診断書を用意しておくと無効を防ぎやすくなります。